【ブログ】意思表示や署名・捺印が難しい相続人がいます
私には医療的ケアが必要で重症心身障害児でもある息子がいます。
息子は脳障害のため、寝たきりで話すことも手足を自由に動かすこともできません(筋緊張による不随運動はあります)。快・不快を表情や声で表すことはできますが、一般的に有効とされる意思表示はできません。
将来、私が亡くなり遺言書を残していない場合、相続の手続きはどうなるでしょうか。
この場合、私の推定相続人である夫、長女、前述の長男、次女の4人で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書に全員が署名して捺印する必要があります。
しかし、息子は協議の場に参加して意思表示をすることも署名・捺印することもできません。息子に成年後見人がついていればその人が遺産分割協議に参加することになります。しかし、成年後見人をつけていなかった場合、家庭裁判所に申し立てをして、成年後見人を選定する手続きから行うことになり、時間を要します。まだ成年後見人をつけたくないと思っていた時には、その意に反して相続のために成年後見人をつけなければならないという事態に陥ってしまいます。
このような事態を避けるためにも遺言書を作成し、その中で「遺言執行者」を指定しておくことをおすすめします。
「遺言執行者」とは、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理とその他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する人のことです。そうすれば推定相続人全員が署名・捺印した遺産分割協議書が無くても、遺言執行者が単独で相続の手続きを進めることができます。
自身の想いに沿った相続を円滑に実現するためにも遺言書の作成は有効です。
当事務所ではお客様のお気持ちやそれぞれのご家族の事情に寄り添った形での遺言書を作成するためのサポートをいたします。ぜひお気軽にご相談ください。